”東広島LOVEな人”に聞いてみた
移住・創業インタビュー
082-422-1033
月曜日~金曜日(12月29日~1月3日、祝日は除く)
8時30分~17時15分
”東広島LOVEな人”に聞いてみた
移住・創業インタビュー
◎東広島市河内町在住 37歳 ◎居住歴:2年 ◎出身地:東広島市河内町
※2024年10月取材
河内町で生まれ育った濵波大翔さん。美容師として活躍したのち、かねてより憧れがあった海外へ渡り、タイ、オーストラリア、シンガポールでの暮らしを10年以上経験し、帰郷。懐かしい河内町の地を踏んだが、地域の寂しさに危機感を持ったという。「いずれは大好きなタイと、愛する地元の河内町、二か所に拠点を構えたい」。そんな思いでまずは地元にカフェをオープン。同時にまちおこしイベントなども計画し、賑わいづくりに奮闘している。
生まれてから学生時代までを河内町で過ごし、その後は美容師として町外で働いていました。初めての海外旅行先として23歳の時に、タイを訪問したところ、まるで昭和の日本のような、人と人との距離の近さや、人間味がある国の雰囲気にすっかり魅了されました。25歳の時、海外で就職したいという思いが高じ、再び憧れの地・タイへ行き、4年間生活したのち、オーストラリア、シンガポールでの暮らしも経験しました。通算で11年間に及ぶ海外での生活は、美容師としての仕事をベースに、ラーメン屋での勤務やフードデリバリー、マッサージのアルバイトなども経験しました。コロナ禍で帰国の選択も浮かんだのですが、その時はタイに残ることを決断。最終的には、「いつか日本に戻ろう」と考えていたこと、河内町で暮らす親やきょうだいのことが気がかりで2022年に帰郷を決意しました。
11年ぶりに戻った河内町は、思いのほか活気がなく、人が少ないことにとても驚きました。「いつかはタイと日本の二拠点生活がしたい」という夢を持ちつつ、まずは地元で賑わいづくりにつながる事業内容をいろいろと考え、海外で学んだ食文化や各国の魅力を発信できるカフェ経営を行うことにしました。
店名『Sabaijai(サバイジャイ)』は、日本語で「心地よい」や「のんびり」を意味します。人づてに紹介してもらった空き店舗はJR河内駅のすぐそばにあり、大きな窓から山々やそこに架かる橋が見えます。この景色と空間に一目ぼれして活用することを即決。メニューは、海外で学んだスパイシーなインドカレーや、体に優しいグルテンフリーのワッフル、ハーブティーなどを提供しています。
同時に、まちの活性化につながることや賑わいづくりをしていきたいと決心。河内町に戻ってきた際に感じたのが、“地域の資源を活用できていないもったいなさ”でした。例えば近くにある廃校になった小学校のグラウンドは、今では珍しい芝生仕様。ここで寝っ転がって星空を眺めつつ映画鑑賞会ができたら素敵だなというようなアイデアが浮かびました。ほかにも、河内駅で写真や絵の展示を行ったり、音楽イベントを催して人が集まる仕組みづくりを計画しているところです。
かつては、生まれ育った河内町のことを「何にもないまちだな」と感じていましたが、長い海外生活を経て戻ってみると、「こんなにいろいろあるのに」という思いに変わりました。1年間過ごしたオーストラリアのメルボルンでは、路上パフォーマンスやウォールアートが盛んで、まちと人がうまく関わり合いながら賑わいや稼ぎを生み出していました。河内町でも、もっとたくさんの人を巻き込んで、そのような活動を加速できないか思案中です。
東広島市は大学生が多く住む地域でもあるので、若い力を貸してもらえないかとも考えています。今年は、東広島市が行う社会課題解決共創型起業プログラム「円陣」にもチャレンジしており、「円陣」を通じて応援してくれるサポーターの皆さんや、市内の大学に通う学生さんと一緒に、店舗を構えるビルの空きスペースの活用方法を検討したり、賑わいづくりの一環で、コーヒーを道行く人に渡すプロジェクトを敢行したりしています。すぐに結果が出るものではありませんが、コミュニケーションが盛んで、人と人の触れ合いがあるまちの基盤を少しずつ育んでいければと思います。
海外生活を経て地元に戻る選択をし、まちの様子を目にして「賑わいづくりを行いたい」と感じた帰郷当初。少しずつ活動を進めるなかで、地元の良さも再発見できたと感じています。これから移住を考える人は、「自分が何をやっていきたいか」を軸にして、暮らす場所を選択するといいのかもしれません。